【マヤノトップガン】を褒める

2021年10月24日

<変幻自在の撃墜王・マヤノトップガン>

馬紹介

平成4年3月24日生 父:ブライアンズタイム 母:アルプミープリーズ

獲得した4つのG1タイトルを全て異なる脚質で制したという変幻自在の器用な馬(でも本当は不器用な馬で田原騎手のあの手この手の苦肉の策がこのタイトルにつながったでんすよね)。

戦績

21戦8勝(G1 4勝 菊花賞 有馬記念 宝塚記念 天皇賞・春)

1995年度 年度代表馬 最優秀4歳牡馬

活躍

輝かしい戦績を残したマヤノトップガンですが、その道のりは意外に険しいものでした。新馬戦では後の桜花賞馬ワンダーパフュームに完敗。その後も勝てないレースが続き、初勝利をあげたのは4戦目。また最初の10戦で3勝しかあげられていない体たらく。正直、期待外れの馬という感じがしないでもなかったですね。その結果、皐月賞にもダービーにも出走できず、ライバルたちの後塵を拝していたわけです。最後のクラシック菊花賞のトライアルレースで力を発揮するもどちらも2着。結局重賞は未勝利のまま本番へと向かいます。しかし幸いなことにこの年の菊花賞は乱菊と言われる本命馬不在のレース。牝馬ダンスパートナーが一番人気という状況で、先行から見事なレース運びを展開したマヤノトップガンが最後の1冠を手にすることになったのでした。

続く有馬記念ではナリタブライアンやヒシアマゾン、ジェニュインといった古馬の有力どころとの対決。菊花賞の勝利がフロックと思われていたマヤノトップガンは6番人気という低評価。けれどもその評価を覆すがごとく、驚きの逃走劇でこの年の有馬を制覇。そのままこの年の年度代表馬の座を手にするのですが、よく考えるとマヤノトップガンが活躍したのは最後の2レースだけ。いかにインパクトが強かったか、また前述のナリタブライアンが圧倒的な力を持っていたかということもわかりますね。

ピックアップレース

1997年4月27日 天皇賞・春

古馬に完勝した有馬の後も、阪神大賞典でナリタブライアンとの世紀のたたき合いを演じたマヤノトップガン。このレースには負けはしたものの、その評価は確固たるものへと変わりました。その後、貫禄の差し足で宝塚記念も制しマヤノトップガンの時代が来ると思われたのですが、彼の前に立ちはだかった大いなるライバルが現れたのでした。サクラローレル、この馬の登場によって勢力図は一変します。マヤノトップガンはこのサクラローレルとの直接対決において3度敗れています。さらには新星マーベラスサンデーの登場によってマヤノトップガンの存在はどんどん薄れていきました。

そんな中迎えた1997年の天皇賞・春。古馬の勲章でもある天皇賞のタイトルは何としてでも手に入れたいものでした。ここに集結したサクラローレルとマーベラスサンデー、マヤノトップガンを含めた3強の争いが繰り広げられます。しかしレース序盤からマヤノトップガンは後方待機。先行差しを得意とし、有馬では奇策の逃げで勝利を飾ってきたマヤノトップガンに追い込みの脚質は本当にあるのかどうか。前のレースで追い込みをかけたものの、それは8頭立て(フルゲート18頭)という極端に少ない頭数でのレースに限ったもの。参考にはなりません。当時の実況でも「ここから果たして届くのか、どうか」と言われています。気持ちよく前でレースを進めるサクラローレルとマーベラスサンデー。最終コーナーで完全に後ろに沈んだマヤノトップガンは実況からも消えてしまいます。

サクラローレル、かわしたマーベラスか、サクラローレルとマーベラスか、ロイヤルタッチ、ロイヤルタッチ、あ、かわしたマーベラス先頭だ、マーベラス先頭だ、有馬記念とは違うぞ、サクラローレルがもう一度伸びてくる おお!?外から何か一頭突っ込んでくる、トップガン来たトップガン来たトップガン来た、さあ、差し切るか、やっぱり3強の争いだ、3強の争いだ、さあ、外トップガン外トップガン、内サクラローレル、代わったトップガンだー、トップガンだトップガンだー、トップガンだー!(歓声)

トップガンだトップガンだ!トップガンレコード!3分14秒4レコード!!ライスシャワーの3分17秒1のレコードを破りました。3秒も!?なんと3秒も更新しました!!

個人的感想

私は全競走馬の中でこのマヤノトップガンが一番好きです。そして私の見てきた全レースの中でこの天皇賞・春のレースが一番好きです。私がHPを始めたころのHNは “m-topgun” でした(その頃のお知り合いの方、見てたら連絡くださいなw)。そして今回新たにこの企画を立ち上げたのも、ひとえにマヤノトップガンを紹介したかったからです(ウマ娘の人気もあったけどね)。なので始めたばかりで何ですが、今後記事の熱量は低下します(笑)。残念ながらマヤノトップガンはこのレースの後、屈腱炎を発症し引退することになるのですが、最後にふさわしいレースをしてくれたと思っています。この衝撃の末脚はダンスインザダークやディープインパクトの末脚にも引けを取らないと確信しています。そんなマヤノトップガンが年度代表馬に輝いたのは阪神大震災の年、マヤノの冠号は神戸摩耶山からとられた神戸市の馬主さんの冠号でもあるのです。復興の希望の星ともなったマヤノトップガン。大好きです。