【『みとりねこ』有川ひろ】を褒める

読了後の感想(2分で読めるよ)

『旅猫リポート』の外伝2編を含む7つのストーリーからなる猫の物語。私は未読なんだけど『アンマーと僕ら』の外伝も入っているそうです。タイトルに“みとり(看取り)”とあるように、少し悲しいシーンが出てくるし、涙を誘う作者の意図も見え隠れするのですが、それほど重くなく、またそれほどわざとらしくもないので、とても読みやすいです。さすがは有川さん、このあたりとても上手いですね。

私はやはり『旅猫リポート』に泣かされたクチですから、今回もこの作品の外伝である「ハチジカン」「こぼれたび」には何とも言えない気持ちになりました。やっぱり、泣いちゃいますよね。サトルくんとの再会も嬉しかったですし、前回はわからなかった背景などもわかって、この作品だけでなく余計に本編が泣けるものになったように思います。また『旅猫リポート』読まないといけませんね。そういう意味で『旅猫リポート』を読んでいる方はかなり感動ものの作品だと思います。ただ一方でさらっと流すように書いている分、こちらが初読みの方にはカタルシスが不十分かもしれません。というのも私は『アンマーと僕ら』の外伝には、そこまで思い入れがありませんでした。だから普通に1篇として読んでしまったので、これも読んでいる方とそうでない方には温度差がでるのかもしれないなと思ったからです。

他には「シュレーディンガーの猫」はとてもコミカルで、泣かせる小説の中にもユーモアを忘れない有川さんらしさが感じられる一遍でした。表題作の「みとりねこ」も思いが詰まった良作だったと思います。でも私には『旅猫リポート』のインパクトが強すぎて、少しバランスを欠いた短編集のように思えてしまいました。可能であれば外伝は外伝として、猫の小説は猫の小説として分けてもらえたほうが、多くの方にお勧めしやすかったようにも思います。なので、まだ未読の方は、『旅猫リポート』を先に読むのをおすすめしますよ。

簡易レビュー

読みやすさ ★★★★★★

面 白 さ ★★★★★

上 手 さ ★★★★★

世 界 観 ★★★★

オススメ度 ★★★★