【『直虎~乱世に咲いた紅き花』高橋直樹】を褒める

読了後の感想(3分で読めるよ)

数年前、NHKの大河ドラマにてこの直虎が放送されていました。見ていない方もおられるかもしれませんので、念のため付記しておきますが、直虎は女性です。そして城主になる前は、尼さんをしていて次郎法師と名乗っていました。私もあまり直虎の存在を知らなかったのでとても楽しく見ることができたのですが、ドラマなのでかなり脚色されていることはわかっていました。そのあたりを今回この小説によって色々と違いを知る事ができたので良かったですね。特に直虎を含む幼なじみの3人がいたのですが、この3人の関係はかなり微妙だったのではないかと思います。何しろ男女だし、そのうちの一人はもう一人の親の仇の子でもあるし・・・。大河ドラマではそのあたり、とてもうまくストーリーとして仕上がっていました。

現在、並行して別の歴史小説を読んでいたのですが、こちらのほうが一気に読んでしまいました。同じ歴史物でもやはり読みやすさというのは違うものですね。この作品が読みやすかった理由として、あまり多くの武将を登場させなかったこと、あまり物語のスジに関係のない情報を入れなかったこと、時代によって変わるであろう呼び名をあえて変えなかったことなどがあげられるのではないでしょうか。逆に多数の武将を登場させ、スジとは違うエピソードもしっかり盛り込んで成功しているのは先日のオススメで紹介した吉川英治さんの『三国志』ではないでしょうか。読む負荷がかかればかかるほど圧倒的な面白さにも繋がるので、どちらがよいとかは安易に決められませんね。

さて直虎ですが、井伊家の数奇な運命に翻弄されたというべきでしょう。そもそも女城主という立場自体が稀ですし、通常考えられないことです。使えていた今川家の興亡にも左右され、この戦乱の世を生き延びるために驚くべき奇策を次から次へと繰り出してくるのです。それが果たして狙い通りだったのか、たまたま偶然そうなったのかはわかりませんが、とても興味深い史実ではありますよね。

この結果、命脈がつらなり幕末は安政の大獄で知られる井伊直弼へと受け継がれていくから歴史って面白いですね。

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