【『死なせない屋』七尾与史】を褒める
読了後の感想(3分で読めるよ)
これまで七尾さんの作品は『ドS刑事シリーズ』しか読んだ事はありませんでしたが、このシリーズを読むだけで七尾さんの作風や面白さ、コミカルなタッチは十分に伝わってきていました。なので他の作品に手を出すのを今か今かと考えていたまま少し時間が経ってしまいました。先日Twitterのほうで七尾先生の『偶然屋2』の拡散依頼ツイートが来ていたので拡散させていただいたのですが、これは読まなきゃと本屋に向かいました。そして『偶然屋』の1作目を手に取ったところ、そばにあった本作『死なせない屋』が目にとまり、併せて購入させていただいたのが今回の運びでございます。
結論から申し上げますと「期待に違わず面白かった!」ということです。さすが七尾先生ですね、面白くて読みやすいことは折り紙付き。本作品の主人公の神楽さんに、どこかしらドS刑事の黒井マヤを重ねてしまいました。そして“死なせない屋”というアイデアの素晴らしさですよ。とても面白い目の付け所だと思いませんか。「絶対に死なせない、どうあっても死なせない」というのがどういうことを指すのかはぜひ読んで確かめてみて下さいね。
前半はキャラクター設定が面白い、シュールな世界観が面白い、コミカルな文体が面白いとエンタメ性抜群です。中盤から後半にかけてはライトなミステリとしても成り立っているし、テーマの構築という点でも成功していました。それにしてもこの主人公は笑ってあげればいいのか、憐れんであげればいいのか、「時給3,000円に見合わない!」と呟いているのが面白かったです。
これってシリーズ化できますよね。気になったのは第二章と第三章のボリュームの違い。これを一作品と考えてしまうのか、連作短編として見るかだと思います。個人的には連作短編としてはアンバランスさを感じたので、第三章は別の作品として独立していたほうが良かったと思います。面白いテーマだったのでもう少し長く物語りを楽しみたかったです。またもし連作とするのであれば第二章が長すぎたと思います。けれども素人の私が偉そうなことをいうもんじゃありませんね(^_^;)、先生ごめんなさい。この作品を上手く引き立てたいというファンの願望みたいなものですのでお気になさらず。
よい勢いのまま『偶然屋』に入って行けそうです。
簡易レビュー
読みやすさ ★★★★★★
面 白 さ ★★★★★
上 手 さ ★★★★
世 界 観 ★★★★
オススメ度 ★★★★★
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