【スペシャルウィーク】を褒める

<生まれながらのカリスマスターホース・スペシャルウィーク>

馬紹介

平成7年5月2日生 父:サンデーサイレンス 母:キャンペンガール

今やダービー5勝とすっかりダービージョッキーとして有名な武豊ですが、実は「武豊はダービーだけは勝てない」と言われ続けた時代があったことをご存じでしょうか。「全ての勝利と引き換えてでもダービージョッキーの称号が欲しい」とまで言った武豊の夢を叶えた馬こそ、このスペシャルウィークなんです。

戦績

17戦10勝(G1 4勝 日本ダービー 天皇賞・春 天皇賞・秋 ジャパンカップ)

活躍

スペシャルウィークは生まれながらにしてその高い素質を買われ、早々とダービーを獲る馬だと囁かれてきました。父・サンデーサイレンスや衝撃の末脚で菊花賞を勝ったダンスインザダークによく似た馬体だともてはやされ、デビュー前から注目を一身に浴びた馬だったのです。そもそも“スペシャルウィーク”って馬名自体が凄くないですか、よっぽど走ると自信が無ければなかなかつけられないような特別な名前、この馬名だけでも将来の活躍を予感させるものでしたね。しかしながら生まれが遅いこともありデビューが他の馬たちよりも遅れたため、クラシックレースまでの期間が短かったのがスペシャルウィークには少々ハンデとなってしまいました。ようやく間に合った皐月賞を迎えた時点での勢力図は、キングヘイロー・セイウンスカイと3強の形成。結果としては逃げるセイウンスカイをとらえきれず3着に沈みます。けれどもレース慣れしていないスペシャルウィークが力負けしたという見方はほとんどされず、迎えた日本ダービーでは堂々の一番人気に推され、その勝利を疑うものはほとんどいませんでした。唯一の不安材料が「ダービーを勝てない武豊が鞍上」ということだったくらいですから。それにしても、当時の武豊は酷い扱われようですねw。当時の競馬マンガでは、武豊の引退として「ジョッキー生活で唯一の心残りはダービーを勝てなかったことです」なんてシニカルなネタが描かれていたくらいですからね。

ピックアップレース

1998年6月7日 日本ダービー

さあ、舞台は整いました。あとはスペシャルウィークの雄姿を見届けるだけ。武豊も一目みたときから「この馬でダービーを獲れる」と確信したというくらいです。「勝ってもガッツポーズはせずにクールにいこう」と思わせたのは、それほどスペシャルウィークにとってダービー制覇は約束されたものだったと思っていたからでしょう。

 

さあ、先頭はキングヘイロー 右ムチが入った

セイウンスカイ セイウンスカイがここで満を持して先頭にたった

キングヘイローは下がっていく その後ろから間を割ってスペシャルウィークやってきた

間を割ってスペシャルウィーク スペシャルウィークやってきた

あっという間に 並ばない!?並ばない!!

あっという間にかわした、あっという間にかわした

スペシャルウィーク スペシャルウィーク 外から外からボールドエンペラー ボールドエンペラー

セイウンスカイ ダイワスペリア インコースからメジロランバート

夢を掴んだ武豊ーーーーーっ!!!ついに夢を掴みました武豊、スペシャルウィーク!

このガッツポーズ このガッツポーズ

最後まで残っていた夢 日本ダービー制覇 その夢を今掴んだ武豊とスペシャルウィーク

勝ちタイム2分25秒8

並ぶ間もなくスペシャルウィークがあっという間に突き抜けました!!!

 

ガッツポーズはしないといった武豊が見た事もないようなド派手なガッツポーズを合計6回でしょうか。

この時点で「最後まで残っていた夢」と日本ダービー制覇を称しているのですから

武豊にとっていかに遅すぎたダービー制覇であったかがよくわかりますね。

個人的感想

今回スペシャルウィークをあげさせていただいたのには、いくつか理由があります。この後の物語がやはりスターホースとして見事なものであったこと、そしてここに出てきたキングヘイロー(高松宮記念)セイウンスカイ(皐月賞、菊花賞)エルコンドルパサー(NHKマイル 、ジャパンカップ)グラスワンダー(朝日杯、有馬記念、宝塚記念、有馬記念)らとの戦いの中でいつもスペシャルウィークが指標となっていたこと、何より私にとってはディープインパクト以上にこのスペシャルウィークこそが武豊の姿に重なるのです。

日本ダービーを制したスペシャルウィークですが菊花賞でセイウンスカイに敗れ、4歳にして挑戦したジャパンカップでも3着に沈みます。しかしながら当時スペシャルウィークの人気は全く色あせないどころか、古馬になってからの期待のほうが大きいものでした。その期待に応えるかのように春の天皇賞を見事に制し、日本ダービーに続く大きな勲章を手に入れます。菊花賞の敗戦もこれで一気に払拭できました。スペシャルウィークはこの後も秋の天皇賞やジャパンカップを制するなど、格の高いG1を必ず勝利してくるのです。そのため前哨戦や他のG1での敗戦によって影を落とすことが少ない馬でした。秋の天皇賞の前に京都大賞典で7着という大敗を喫したときだけ、不安視されましたが、直後のレースを勝つことで逆に「力を貯めていたんじゃないか」「陣営の作戦ではないか」と言われたくらいです。またスペシャルウィークはジャパンカップに勝っているのですが、これがとても価値ある勝利でした。少しややこしくなりますが、エルコンドルパサーが凱旋門賞で2着となり大いに話題になったのですが、この時凱旋門賞馬となったのが当時世界最強との呼び声高かったモンジューという馬でした。なんとスペシャルウィークはジャパンカップにおいてこのモンジューを打ち負かしてしまったのです。こうして大レースなおかつ大勝負に勝利したスペシャルウィークは、前回紹介したオグリキャップが格の高いレースを勝っていない(だからこそスーパーホースなんだけど)のと比べてみても、一番大事なレースを一番大事な時に常に勝ち続けた馬だったことがわかります。本当に名実ともにスーパーホースと言えるのかもしれませんね。

一方でグランプリレースにおいてグラスワンダーに2度敗北しています。特に宝塚記念では力の差を見せつけられる完敗でした。しかしながら最後のレースとなった有馬記念の敗戦は負けたとは言えない内容、そうラジオの実況ではスペシャルウィークが勝ったと叫び、武豊はウイニングランを行っていたのです。その後、写真判定であたかも判定が覆ったかのような形でグラスワンダーの勝利となったのですが、レースの流れは間違いなくスペシャルウィークのものでした。グラスワンダーの馬券を買っていた私が言うのだから間違いありませんw。

つまり人々の記憶にはグラスワンダーを鮮やかに差し切った映像が脳裏に焼き付いたまま彼はターフを去ったのです。結果としてスペシャルウィークは最後までスペシャルな存在であり、今はやりのウマ娘でも重要なキャラクターとして登場しているようです。