【『リボルバー』原田マハ】を褒める
読了後の感想(3分で読めるよ)
美術が好きで小説好きの方ならたまらないのが原田マハさんの作品ですよね。これまでも多くの美術関連の作品を手がけてこられました。その中でも私は“ゴッホ”の生涯を追いかけた「たゆたえども沈まず」という作品が大好きだったのですが、この度、またもやゴッホのひまわりを装丁にした「リボルバー」が刊行されました。読まないわけにはいきません。が、どうやら今回はゴッホだけでなく、その盟友であったゴーギャンとの関係が描かれているようで、早速“ゴーギャン”と“ゴッホ”の褒め記事を用意した上で、今小説の褒め記事を手がけるに至りました。ちなみに褒め記事を読んでいただければわかるのですが、ゴーギャンとゴッホが一緒に過ごした期間はそう長くなく、仲が良かったというよりは、ゴッホが一方的にゴーギャンを連れ回していたという印象が私には強いです。でもだからこそ、今作の展開は納得できる部分も多くありました。
【ゴーギャン】を褒める https://homeya.jp/art/85
【ゴッホ】を褒める https://homeya.jp/art/130
ある小さなオークション会社に持ち込まれた1丁の拳銃。これがゴッホの自殺に使われた銃だという衝撃の告白から物語りは始まります。その真偽のほどを追いかける主人公の高遠冴はゴッホとゴーギャンの研究者。そんな中で浮き上がってくるゴッホとゴーギャンの驚くべき関係性に、語られなかった新たな推測が呼び起こされることに。今作もれっきとしてミステリとして仕立てながら、一方でゴッホとゴーギャンの生き様も映し出しており、このあたりはさすが原田さんですね。ゴッホはゴーギャンのことを、ゴーギャンはゴッホのことを本当はどう思っていたのだろうか。そのあたりのことを一緒に考えるのも楽しかったです。
物語で語られる最終的な真相がどうこうよりも、真相に迫る中で浮き彫りにされる彼らの周囲がとても輝いています。そして、この作品はとてもロマンがあります。また、あまり語られることのなかったゴーギャンに焦点があてられたという意味でも、この作品の持つ意味はとても大きいと思えますね。また、この検証方法をとったこの作品はある意味「歴史小説」の体を成せる作品でもあったのだと振り返っています。
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