【『透明な螺旋』東野圭吾】を褒める

2021年9月16日

読了後の感想(4分で読めるよ)

ガリレオシリーズの第10弾は長編で紡がれます。初期に比べてガリレオ・湯川学のことが色々と明らかになってきていますが、今作でもまたその身辺が語られます。それは縦軸のお話。まずは作品単体として触れておきましょう。私、今回は久しぶりに早々と推理が当たり、なんだか嬉しくなってしまいました。まあ25年くらい東野圭吾さんを追っかけているんですからね。そりゃ、こんなこともたまにはあるよね。でも毎回思うのですが、推理が当たるときはその感動もやはりいつもよりは小さくなってしまうのは仕方のないことなのでしょうかね。解き明かされていく内容についてもなぞるだけになってしまうので盛り上がりに欠けるというか・・・。テストの点数がよかった後の、復習の授業がつまらないような感じと言えばいいのでしょうか。まあまあ、今回は複雑な部分はなかっただろうし、そんなもんかもしれません。私以外にも当てた人はいるんだろうなあ。

と思ってたんですよ!?!?!?!?!?

あとはネタバレを誘引するおそれがあるので簡易レビューの下に書いておきます。(ネタバレはありませんけどね)

さて、縦軸の話ですが、ガリレオシリーズはテレビドラマ化されて影響もあって、ドラマで出てきた柴咲コウさん演ずる内海薫が小説に出てきたり(実は、東野圭吾さんは、設定ありきであることをドラマ化の条件としていたので、実際は内海薫も小説発のキャラクターという立ち位置ではあるんですけどね)、吉高由里子さん演ずる岸谷美砂が、小説の岸谷さんの姪っ子という設定になっていたりと、シリーズが進むにつれ、外的な変化も求められていると思います。佐野史郎さんのイメージだったはずが福山雅治さんになったりというのもその一つですね。それはそうと、“湯川学”というキャラクターが外堀を埋められて、どんどんと我々のイメージが変わっていくのは、加賀恭一郎とは違って面白く感じます。加賀シリーズではもともとの加賀恭一郎という人物設定に応じて次第に肉付けされている感じで、これはこれで面白いです。一方で、湯川先生は明らかになればなるほどイメージが一新されて、なんだか親近感を覚えるようになってきました。シリーズ最初の作品を読んだときは私はマッドサイエンティストのイメージさえ持っていましたからね(^_^;)

簡易レビュー

読みやすさ ★★★★★★

面 白 さ ★★★★★

上 手 さ ★★★★★

世 界 観 ★★★★★

オススメ度 ★★★★★

 

ここから、感想の続きだよ、ちょっとだけ注意だよ。

 

 

いやいや、私の推理、当たってませんでした、見事に外れていました。東野圭吾さんの手の上で転がされていただけでした。推理があたってしまうと感動が半減するものですが、当たったと思って実は当たってなかったということを明らかにされるのって感動が倍増するのですねw。驚きですよ、しかもラストの50ページでどれだけツイストするんだという感じです。やっぱり東野圭吾さんは凄いです。多分、私のようにミスリードされる読者を思い描きながら書いていたんでしょうね、悔しいけど嬉しいよ~。