【ディープインパクト】を褒める

<最強の三冠馬にしてサンデーサイレンス産駒の最高傑作・ディープインパクト>

馬紹介

平成14年3月25日生 父:サンデーサイレンス 母:ウインドインハーヘア

数々の名馬がいます。競馬を知らなくてもその名を知っているという馬もたくさんいます。好きな馬をあげるとするなら数えきれない程の馬の名前があがってくることでしょう。けれども「一番強かった馬は」「一番衝撃を受けた馬は」と聞くと、ある程度馬の名前は絞られてくると思います。そしてその質問の答えは、『ディープインパクト』なのではないでしょうか。

戦績

14戦12勝 (G1 7勝 皐月賞 日本ダービー 菊花賞 天皇賞・春 宝塚記念 ジャパンカップ 有馬記念)

活躍

先に戦績を振り返っておくと、勝てなかったのは2つのレースだけです。そして国内で負けたのは1戦のみ(ハーツクライの2着となった有馬記念)、そして凱旋門賞は失格。これはエルコンドルパサーによく似た戦績ですから、数字だけでもほぼ最強であることはわかるのですが、今となってはそのエルコンドルパサーの名を霞ませてしまうくらい、ディープインパクトの存在感が大きくなっています。それは国内の獲得したレースの格やレースの勝ち方もさることながら、その走りっぷりがまさに王者にふさわしいものだったからでしょう。ちなみに当時、種牡馬としては圧倒的だったサンデーサイレンスの最高傑作であっただけでなく、種牡馬としても成功し、後継種牡馬としても最高傑作となったことも含めて、完璧なサラブレッドであったことがわかります。

デビュー前からその評価は凄まじく、一走もしていないのに、既に重賞を勝っていた兄・ブラックタイドが「ディープインパクトのお兄さん」と呼ばれていたくらいでした。武豊ジョッキーはスペシャルウィークに対して「初めて乗ったときからダービーを獲れると思った」と言ってたのですが、このディープインパクトに対しては「初めて乗ったときから三冠を獲れると思った」とコメントしたと言われるくらいですから、いかに早い段階でその能力の高さをうかがわせていたかがわかります。通常、こういった若駒で完成している馬は早熟馬で肝心のクラシック戦線で、一気に下降していくことも多いのですが、ディープインパクトはむしろ上昇していくばかりでした。圧倒的な勝ち方で三冠を手中におさめたナリタブライアンと同じように圧勝が多かったのですが、実は中身が違いました。ディープインパクトはほとんどムチを入れずの圧勝なのです。つまりジョッキーはただ乗ってるだけ、ディープインパクトは最後のギアを上げることなく圧勝を繰り広げていたのです。これが後に「翔ぶ」と称されたディープインパクトの走りの印象だったのではないでしょうか。

皐月賞を勝った時点で実況は「武豊、三冠馬とのめぐり逢い」と言っています。過去、何度も皐月賞を制していても、こんな形容普通はされません。日本ダービーを勝ったときには武豊が「過去の馬とは比較したくありません、この馬がすでに名馬なので」というコメントを残しています。菊花賞を勝ち三冠馬となった時点での実況が「世界のホースマンよ、見てくれ。これが日本近代競馬の決勝だ」ですからね。どれほど凄いんだという話ですよ。

残念ながら凱旋門賞制覇はなりませんでしたが、もう1回やったらきっとディープインパクトが勝ちますよw

ピックアップレース

2006年12月24日 有馬記念

凱旋門賞が失格となるも、帰国後のジャパンカップで見事に勝利を飾ったディープインパクト。その当時の実況に「翼を広げた」「翔んだ」というものがあります。これに異論をはさむ者はいませんでした。というより違和感さえ覚えなかったことでしょう。それほどディープインパクトの走りは「走る」よりも「翔ぶ」、「脚」よりも「翼」という表現が的を射てたのです。それは天馬・ペガサスをディープインパクトに重ねていたように思います。その名実況を受けて、ディープインパクトは最後のレースとなった有馬記念でも、文字通り「翼を広げて翔んだ」のです

 

さあディープインパクトがここで翼を広げるか ディープが今翼を広げた 外目を突いて上がってくる

メイショウサムソンをあっという間に置き去りにした ディープインパクト先頭 ディープインパクト先頭

間違いなく翔んだ 間違いなく翔んだ ディープインパクト先頭だ

ダイワメジャー そしてポップロックが飛んできている

最後の衝撃だ! これが最後の ディープインパクト~!!!

ラストランを見事に飾りましたディープインパクト これが、これが私達にくれる最後の衝撃

強い ディープインパクト強し!!

個人的感想

私はディープインパクトの登場によって、競走馬における最強論が一段落着いたように思えてなりません。それまでは、やれ「オグリキャップが最強だ」「最多G1勝利のシンボリルドルフだ」「トウカイテイオーの復活劇が伝説だ」「ナリタブライアンが強かった」「サイレンススズカが最速だ」「いやいや、シンザンの時代を知っているか」などなど、比較のできない最強討論が、いくつも繰り広げられていたものです。けれどもディープインパクト以降は、以前ほど目にしなくなったと思うのです。心のどこかで「ディープインパクト最強」で納得しているように思えるのです。もちろんそれはわからない話ですが、オルフェーヴルが三冠をとったときも、アーモンドアイがG1勝利記録を伸ばしたときも、今年コントレイルが福永騎手に涙を流させるほどのラストラン勝利を飾っても、最強論が大きく持ち上がるところまではいかなかったと思うのです。サイレンススズカという稀代の逃げ馬、そして天皇賞・秋のレースが未完に終わって武豊が「サイレンススズカが一番速かった」と言ってくれたにも関わらず、私はサイレンススズカを最強としなくなりました。それはディープインパクトが間違いなく最強だと見せつけてくれたからです。もし武豊がその後「ディープインパクトが最強だ」と発言を変えても(もうそんな発言していたらごめんなさい)、私は平気です。そしてサンデーサイレンス産駒の最高傑作の座もサイレンススズカではなくディープインパクトだと言われても異を唱えることはありません。ある意味サイレンススズカの4部作の5作目があるとするならば、今回のディープインパクトの褒め記事がそれに当たるものであり、これをもって本当の完結となるように思います。