【『スタンフォードのストレスを力に変える教科書』ケリー・マクゴニガル】を褒める
読了後の感想(3分で読めるよ)
2016年の6位にあげたケリー・マクゴニガルさんの『スタンフォードの自分を変える教室』は私にとってはかなり衝撃的な内容でした。人の意志というものが「脳医学」の観点から解明されるという新しい考え方で、今でも研修のときに触れさせていただいている内容でもあります。そのマクゴニガルさんのストレスに関する著作で、ちょうどこの時期メンタルヘルスの研修を行う事もあり、手に取ってみました。
結論から言ってしまうと、さすがに『自分を変える教室』ほどのインパクトとまではいきませんでした。『自分を変える教室』があまりに素晴らしい内容であったことや、私自身が先生のアプローチを知ってしまっていたこともあったかもしれません。ですが、やはり読み応え十分でストレスに対する考え方や対処の仕方、またその仕組みを理解できる有用な作品であることは間違いありません。
ストレスにも種類があるという考え方や、発生する分泌物によってその性質が変わるという説明はとても説得力があり、いろんな点で試したいと思えるものでした。すなわちストレスには「闘争・逃走反応」と呼ばれる命を守るために逃げようとするもの、「チャレンジ反応」と呼ばれる集中力を高め自信を取り戻そうとするもの、「思いやり・絆反応」と呼ばれるピンチのときに人との絆を求めようとするものがあるということです。
「闘争・逃走反応」は一見逃げるというマイナスの働きに思えるものの、体を守る本能のようなもので休息をとらせようとしたり、危険なシチュエーションから遠ざけようとするものです。一般的に我々が「ストレス」と呼んでるものの多くがこれにあたります。
「チャレンジ反応」は私たちが本番や大会を前に緊張する類いのもので、このストレスがむしろ集中力を高めてくれるというのです。これはオリンピック選手などの集中の原動力にもなっているそうで、精神を鋭敏にし上手くコントロールすれば高い成果を導き出す「覚醒」のようなものらしいです。これを引き出すために普段から練習を積んで、それを思い出し自信を回復することで、自身の能力を最大限に出力することができる良い「ストレス」なのです。
「思いやり・絆反応」は危険時に他人を頼ろうとする寂しい思いや不安を表します。これも一見マイナスのように思えますが、こういった寂しさや不安こそが、人とのつながりの大切さを再認識し、互いに力を寄せあう要因にも繋がるということです。被災時の辛い思いや不安の類いがまさにこの「ストレス」に該当するわけです。
こうしたストレスの種類をしっかりと解明することで私たちは正しく「ストレス」と向きあうことが必要だということを学ばされました。
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